複数の「協会」が存在する理由
なぜ、複数の協会があるのか――それは、NLP(神経言語プログラミング)が誕生後、複雑な過程をふんで発展してきたという経緯に答えがあります。
協会は、大きく分けて以下の2つ。
- 創始者の作った団体(米国NLP協会)
- 創始者が作ったNLPを発展させた新しい団体(全米NLP協会)
後者(全米)の流れを汲んだ日本の協会の一つに、「日本NLP協会」があります。ただし、この協会の設立までは、日本でも、創始者の団体(米国)が主流でした。
その理由を、NLPの誕生~発展までの流れから見ていきましょう。
NLPの誕生
神経言語プログラミングは1970年代に、アメリカのカリフォルニア大学に在籍していたリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが、セラピーの分野で有名だったミルトン・エリクソン、フリッツ・パールズ、バージニア・サティアを分析したことから始まります。
この3人のセラピストは、それぞれの方法で高い成果を生み出していましたが、まったく異なるアプローチをしながら、似通ったパターンを用いていたのです。
リチャード・バンドラーはジョン・グリンダーとともに、この3人の天才を科学的に分析し、ことばの使い方・非言語の使い方・無意識の活用の仕方を分析・体系化して、生み出しました。
ベトナム戦争からの帰還兵のPTSDが社会問題となっているところへ、NLPは帰還兵のセラピーで有効性を発揮し、大きな成果を挙げました。心理療法の方法として急速に広まり、現在では、スポーツやビジネスにおいてもその効果が認められています。
なぜ日本で3大NLPが知られていないのか
NLPの創始者であるリチャード・バンドラーが主催している団体は、「米国NLP協会」ですが、現在、発祥の地であるアメリカで人気のある「3大NLP」と呼ばれる団体は、
- 全米NLP協会 タッド・ジェームスカンパニー
- NLPコンプリヘンシブ
- NLPユニバーシティ
の3つです。
なぜ、創始者の団体ではなく、ほかの団体のほうが人気が高いかというと、
- 創始者が数年間、NLPの世界から離れていた間に世代交代が行なわれていた
- 3大NLPのカリキュラムの基準が高いのに対し、少ない時間で資格を取得できてしまうので、習得する知識に差が生じやすい
- 3大NLPは現在のNLPの主流となっている新しい概念を打ち出している
といった理由が挙げられます。
しかし、日本ではこの3大NLPがあまり知られていません。日本NLP協会は、全米NLP協会 タッド・ジェームスカンパニーの流れを汲んでいますが、日本におけるNLPの団体のほとんどは、米国の流派です。
なぜこのような現状なのかというと、その理由は実にシンプルです。
米国NLP協会のトレーニングは通訳がついたからです。そのため、あまり英語が得意でない人は、米国のトレーニングを選びました。
一方、3大NLPは通訳がつかなかったので、英語が得意な人でないと受講できませんでした。現在では、全米NLP協会のトレーニングも通訳つきで受講できるようになりましたが、過去には、全米NLP協会のトレーナーも、NLPユニバーシティのトレーナーも日本には数人しかいませんでした。さらに、NLPコンプリヘンシブは基準が高すぎるため、現在、日本でトレーナーの資格を持つ人はいないと言われています。
このような背景により、日本ではアメリカで定評のある3大NLPが広まっていかなかったのです。